国家が壊した生存コストの基盤
なぜこの国は「価値を生まない」のか──国家が壊した生存コストの基盤
構造的思考の欠如が、日本を腐らせている。
序章:「誰が悪いのか」ではなく、「構造そのものが腐っている」
現代日本は、国家としての設計思想を失った。政治家・官僚・国民、それぞれが思考停止の構造に取り込まれ、問題は拡大し続けている。
真の生存コストとは何か?
国家が優先的に守るべき「生存コスト」は、次の3要素である。
1. 食料自給力の崩壊
食料自給率37%。日本は“飢えるリスク”と隣り合わせの国になっている。
- 農業支援の欠如と後継者問題
- 市場依存とグローバル供給網への過信
- 「農を戦略安全保障として捉えない国家方針」
2. エネルギー自給率の低迷
再生可能エネルギーを促進するどころか、規制と利権の迷路が邪魔をしている。
- 再エネのポテンシャルを活かしきれない規制構造
- 原発政策の迷走と依存の二律背反
- 地政学リスクに対して無警戒なままの供給構造
3. 住居(居住権)の機能不全
高すぎる家賃とローン、なのに850万戸以上の空き家が放置。
- 都市への過密集中と地方の過疎化
- 空き家活用を妨げる法制度と税制
- 「住宅=商品」のままでは居住権は保障されない
なぜ国家は生存コストの再設計を行わないのか?
「票にならない」 「予算にならない」 「誰も責任を取りたくない」
この三拍子が揃えば、国家はあらゆる未来設計を放棄する。それが日本の現実だ。
価値創出の循環を設計し直せ
本来の国家の役割とは、以下の循環構造を維持・設計することである。
- 国民の基礎的生存コストを国家が保証する
- 国民が安心して創造的活動に参加できる
- 価値(技術・文化・経済)が生まれ、再投資される
- 全体の成長と持続性が実現される
設計者なき国家からの脱出
構造の設計・再設計に踏み出す者が現れなければ、この国は次の世代へ「無設計社会」という負債を残すだろう。
「誰が悪いか」ではなく、「誰が構造を設計するか」
参考文献・統計出典
- 農林水産省「食料自給率に関する統計」
- 資源エネルギー庁「エネルギー白書2024」
- 総務省「住宅・土地統計調査」
- OECD「住居費負担に関する国際比較」
- 経済産業省「未来人材ビジョン」
コメント