なぜ「公務員を目指せ」と言われるのか?|安定の裏にある“制度を食う”価値観の継承
✅この記事でわかること
- 「公務員=安定」という表向きの話の裏にある“本音”
- 官僚・外郭団体・天下りによる“制度利得”構造
- なぜ教育現場や家庭で「公務員推奨」が繰り返されるのか
- 日本社会に根付く“支配階層”としての行政機構とその継承
- 個人がそれをどう受け止めるべきかという視点
「公務員=安定」説の表と裏
よく耳にするフレーズ:
「公務員になりなさい。安定してるから」
「結婚するなら公務員がいい」
「親を安心させたいなら役所に勤めなさい」
こうした“人生の正解”のような空気は、日本社会でいまだ根強く残っています。
表向きの理由はこうです:
- 倒産しない
- 給料が急減しない
- 景気に左右されにくい
- 年金・退職金が確実
- リストラがない
しかし、これらのメリットは、あくまで下層~中間層の“安定雇用”モデルの話です。
実際に“公務員志向”を強く勧めてくる層や、社会的エリート層が目指しているのは、
「制度を動かす側」すなわち官僚・管理職ポスト・政策形成層です。
💼公務員“上層部”の世界は別物
ここで重要なのは、次の点です:
❌ 一般職公務員の労働安定性
✅ 官僚層・課長級以上の「制度設計者」としての“利得構造”
官僚や本省職員、部長級以上に昇進した者たちは、「退職」後に以下のような道筋を得ることがあります:
■ 天下り・再就職・特別顧問ポストの実態
パターン
内容
外郭団体への天下り
自ら関与した制度の受託法人へ“再配置”
財団法人の理事職
業界団体・審査機関・審議会など
民間企業の顧問就任
規制に関与できる立場の者がアドバイザー化
補助金審査団体への移籍
自ら作った制度を審査する側に回る
つまり、
制度を設計する者が、退職後に“制度を使う側”として利益を得る構図
これこそが、いわゆる「上級公務員の旨味」であり、
庶民が言う“安定した公務員”とは、まったく次元が違う話なのです。
🎓なぜ教育現場でも「公務員」が推奨されるのか?
ここにこそ、日本社会の“再生産構造”が垣間見えます。
1. 教員・教育行政もまた「公務員的世界」
教育関係者の多くは地方公務員や独立行政法人職員であり、
自身も“制度の中に守られている側”です。
→ 子どもにも「公務員=安全」な人生モデルを自然と勧める
2. “競争しないで済む道”としての逃避
公務員試験は競争ですが、一度入れば終身雇用に近い世界。
現代社会の激しい競争を避けたい親・教員ほど、「安心な人生」として勧めがち。
3. 地元社会・旧家・士族系の家系文化
特に地方では、長年「官職に就くこと」が一族の“格”とされてきた文化が残っており、
その文化的残滓が「とりあえず役所に入れ」という形で継承されている。
🪜公務員志向は“上から見れば”利権人材の育成ルート
真にエリート層が狙っているのは、「制度を食う側」。
下記のようなステップで構築されています:
東大・京大・旧帝大などの法・経 → 国家総合職 → 本省官僚
↓
制度設計 → 補助金構造構築・規制整備
↓
省庁退職(50代) → 外郭団体へ天下り or 民間顧問就任
↓
再就職先の利益拡大に貢献(制度を熟知している)
つまり、公務員とは「制度の使用者」ではなく「制度の製作者」であることで、
“表の正義”と“裏の利益”の両方を操作できる立場になるのです。
⚠️この構造の問題点
- 制度を設計した者が制度を私的に活用できる
- 不透明なポストと予算配分が固定化される
- 公務員全体が“利権化している”と誤解され、一般職員にも偏見が及ぶ
- 若者の挑戦志向・民間志向が抑制される
「安定してるから公務員に」と言われた若者が、
制度の下で働くだけの消耗品として終わるのか、
制度の設計側として影響力を持つキャリアを築くのか。
これはまったく異なる生き方です。
結論|「公務員を目指せ」とは、“制度の旨味”を知る者の発言
世間では「安定」や「堅実」と語られがちな“公務員志向”。
しかし実態は、
制度を動かせば動かすほど、その制度で利益を得られる世界が存在し、
それを知る者ほど、無意識に「制度の側に行け」と助言しているのです。
「公務員になれ」と言われたら——
それは「支配される側(安定志向)」になれという意味か?
それとも「制度で支配する側」へ行けというメッセージか?
この問いを、社会と個人の間で明確に区別する時期に来ています。
✍️あとがき:制度を操作できる者が“勝ち続ける”国
日本社会では、「何を作るか」「何を変えるか」よりも、
“どの制度のどこにポジションを取るか”が圧倒的に重視されてきました。
「制度の中でどう働くか」ではなく、
「制度そのものを作る側に回れ」
というメッセージを、私たちは“公務員を目指せ”という言葉の裏側から読み解く必要があります。
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