今、日本に本当に必要な国家戦略とは何か 予算編成の透明化・支出改革・国家安全保障の再定義、そしてインフレを味方にした財政規律の再構築へ
はじめに:財源論・国債論争の「その先」へ進もう
「国債は問題ない」「緊縮は愚かだ」──
SNSや論壇では、財政の拡大・縮小を巡る論争が絶えません。
しかし、今この国に必要なのは、そうした量的な議論ではなく「国家戦略の再設計」です。
この記事では、財政論争を超えて日本が採るべき方針を4つの柱に整理し、国民の未来を守るために何が本質的に求められているかを明確にします。
1. 予算編成の透明性を確保せよ
「どこに、なぜ、どれだけ使っているのか?」を国民が知る権利
予算とは、国の意思そのものです。しかし日本の予算編成は、政治的妥協や既得権益の温存により、ブラックボックス化が進んでいます。
必要な改革:
- 全支出の用途と成果の可視化(公開義務化)
- 中立的第三者による費用対効果の審査
- 「政策単位」での予算公開(ゼロベース予算の導入)
これにより、「お金の使い方」に対する民主的統制が機能し始めます。
2. 支出構造の見直しと最適化
「支出を増やす・減らす」ではなく「どう使うか」が問われている
支出削減ありきの緊縮も、支出無制限の国債肯定も、中身を問わない時点で非現実的です。
必要な姿勢:
- 無駄な利権支出、成果のない補助金の撤廃
- 高齢者偏重型の支出から未来投資型(教育・技術・基盤整備)へ転換
- 政策評価を義務化し、失敗は撤退する「機動性ある財政運営」
財政とは国家の投資戦略であり、その配分次第で国の未来は決まります。
3. 国家安全保障の再定義と強化
食・水・エネルギー・住居・防衛──「生き延びる力」の設計が国家の土台
現代の安全保障は、戦争やミサイルの問題だけでは語れません。生きていくためのリソース確保(サバイバビリティ)こそが、最大の安全保障です。
投資すべき分野:
- 【食料】 自給率向上、農業技術革新、食料備蓄体制の強化
- 【水資源】 水道・下水インフラの再整備、民営化リスクの抑制、水源保全
- 【住居】 空き家活用と新規住宅政策の両輪による居住権の確保
- 【防衛】 現実的な抑止戦略(専守防衛の高度化+戦略的シナリオ構築)
✅【エネルギー】:原子力=旧来復旧ではなく「革新型技術」への投資が本筋
単なる原発再稼働ではなく、安全性・分散性・将来性を備えた次世代技術への転換が必要不可欠。
投資対象:
- 小型モジュール炉(SMR):事故リスクが極小化された分散型モデル。コスト・建設期間の削減も実現
- 高温ガス炉・溶融塩炉などの新方式炉:自己冷却機能と廃棄物の少なさで次世代の主力候補
- 核融合発電:暴走リスクがなく、放射性廃棄物がほぼ出ない究極のクリーンエネルギー
国家主導での長期開発計画と民間技術支援が急務
4. 良性のインフレを起こし、逆に財政規律を強化せよ
デフレ下での財政規律は“禁欲の自己目的化”にすぎない
日本経済は長年デフレに苦しんできました。デフレ下での緊縮や財政均衡は、むしろ経済活動を萎縮させ、将来的な税収すら奪います。
必要な戦略:
- 戦略的な財政拡大によって需要を刺激し、適度なインフレ基調を創出
- インフレ環境下でこそ、支出の妥当性・効果を問う財政規律が生きる
- インフレ率と名目成長率に応じた、柔軟な支出抑制・増税ルールの導入(動的財政政策)
インフレは悪ではなく、統治ツールとして使いこなすべきもの。その環境下でこそ、政治は財政規律を回復させることができます。
おわりに:国債は免罪符ではない、使い道がすべてだ
国債は単なるツールです。
問題なのはその使い方。そして、どの方向に国家を動かすかという意思です。
日本に必要なのは「国家意思」としての予算戦略の再構築。
そのために必要な4つの柱は以下の通りです:
- 予算の透明化
- 支出の見直しと再配分
- 国家安全保障の拡張的再定義(とくに革新的エネルギー戦略)
- 良性インフレの誘導と規律の強化
この4本柱こそが、
「未来に通用する国家」をつくるための土台となります。
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